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第1節 保育の理念 私たちの思い小さな共同体が伝承してきた文化のゆりかごの中で、主たる養育者を身内や隣近所が支えて子どもが育つ社会は、時代が移り、生活様式がどのように変化しようとも、また価値観がどれだけ多様化しようとも、子どもにとって必要不可欠な社会の在りようです。そうした社会に位置づけられ、子育て文化継承の拠点として、子どもたちが「子ども時代を子どもらしく生きること」を手助けできればと、岩屋こども園アカンパニは日々の保育を実践しています。いわば身内やご近所のように子育てを手伝いたいと願っています。こども園が果たすべき役割は、子どもたちへの直接的な保育のみならず、育児支援や地域づくりなど多岐にわたりますが、日々の保育活動にあっては、子どもたち一人ひとりを大切にするために、「子どもが周囲の人や周囲の事物に関わって、そこに内在する遊びを子ども自らが見つけ出し、工夫し、遊びこみ、伝承する保育」を基本とします。このような保育の実現のためには、「子どもと保育者がともに生活環境を創造し、展開する」ことが大切です。
こども園は、子どもと保育者がともに生きる生活の場です。そこに暮らす人々はお互いがお互いに「生活者モデル」です。遊びを中心に、生活者としての仕事や役割、一年を意味あるものにするための暦など、子ども時代が演出され、子どもらしく生きるためのカリキュラムが創意工夫されることで、子どもたちはいきいきといまを生き、社会に適応し、やがては社会を創造していく力の源となる「意欲の水瓶」を、心の深部に蓄えてゆきます。
「意欲の水瓶」をはたらかせるためには、自分が発揮できなければなりません。自分を発揮するためには、人とも上手くやれなければなりません。自己を充分発揮しつつ他者と協調することができる、そうすることで他者から自分が映し返されて、自分が他の誰でもない自分になってゆく。そのように子どもが一個の主体として尊重され、他の誰でもない主体となってゆくことこそ、保育者とこども園の普遍的な使命であると考えています。 |