|
第1節 期ごとの保育 第1期 関係性を育む第1期 関係性を育む (4月1日から7月第1週まで)2.保護者との関わりも重要な0・1歳児のクラス0歳児クラスみどり組では、特定の保育者との関わりがどのように他の保育者との関わりに展開するか、そこに保護者の養育態度やこども園への印象がどのように影響して、保育者と子どもと保護者の関係性が変容するかが問われるでしょう。0歳児の保育は、食事や排泄、睡眠といったことが活動の中心になる上に、言葉で気持ちを伝えることができませんから、一日がお世話や子守に終始することのないように、子どもの表情やしぐさ、ちょっとした動作に気を配り、子どもの気持ちを理解することが重要です。室内にこもらず、積極的に戸外に出ること、保育者の都合で子どもの集団を大きくしないなど、保育者間の意志の疎通と仕事の分担に工夫が求められます。
また、1歳児クラスしろ組では、保護者の子育てに対する緊張感も緩やかになり、余裕を持った養育が実現されてきますので、子どもはこども園生活独自の姿を見せてくれるようになります。見かたを変えれば、子どもは家庭とこども園の両方に生活の場を持つことを積極的に肯定できるようになるのです。ですから、安定的な保護者への信頼が特定の保育者への信頼に援用され、それがまた他の保育者へも波及してゆきます。さらには、大人との安定的な信頼が他児へ自分を開く支えにもなってゆきます。そのような過程を経て、〈子ども:子ども〉関係に自分の世界を開く準備が整ってゆくのです。ですから、子どもどうしの関わりが急激に増えるため、噛み付いてしまったり、たたいてしまったりといった姿も、この1歳児クラスにもっとも多くみられますが、それはマイナスの関わりがプラスに転じる機会と捉えて、一方的なトラブルの解決を図るような保育のあり方には注意が必要です。
ところが一方で、せっかくの保護者との良好な信頼関係も、子どもの怪我などが原因で気まずくなることも考えられます。日ごろからクラス全体の様子を伝えることで、1歳児クラスの保育の目標を保護者によく理解してもらうことが大切になります。
使用する保育室は、くすのきの家の2階、1階、そしてけやきの家の1階保育室ですが、その保育環境を年齢だけで区切るのではなく、一人ひとりの子どもの育ちと全体的なバランスを考慮し、年度途中の進級も積極的に活用することで、安定した乳児保育を実践することができます。空間や時間を固定化しないことで一人ひとりの子どもにふさわしい保育の内容を集団保育の中に実現することが可能になり、それが子どもと保護者と保育者のゆたかな関係性を築いてゆきます。 |