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第3節 環境ごとの保育【1】戸外の環境5.地域地域とは、大きくはその土地に特有の風土をいうのでしょうが、その地域に住む人々とその暮らしが、地域特性を左右する要因ではないでしょうか。また、近代化した都市空間では、住民や住民の暮らしに加え、さまざまな施設も地域の特性に影響を与えます。岩屋こども園アカンパニが岩屋神社の境内に位置することはすでに述べましたが、もう少し広い意味での地域として捉えると、それは山科盆地になります。山科は東海道と奈良街道の合流地点であり、古くから交通の要所でした。地形的には盆地の中心部分に山科川が流れ、その支流にそって民家が点在し、周囲の山々に向けて田畑や雑木林が広がる典型的な里山の風景が見られました。
ところが高度経済成長期に入るや否や、高速道路が南北に通り、新幹線が東西に敷かれ、山科は京都と大阪を中心とした近畿圏の住宅地として開発がすすみ、すっかりその様相を変えてしまいました。充分な道路整備もないままに住宅が建設されたため、街としてみたとき、機能も景観も満足のいくものにはなっていません。
地域住民は「入り人」と呼ばれた新住民が圧倒的多数を占め、第1次産業は衰退し、職業と価値観は多様化した結果、地域は特色を失ったといってもいいかもしれません。 このような地域を保育的環境としてみたとき、地下鉄に乗車したり、図書館を利用したり、東部文化会館でキティランドコンサートを開催したりなど、どうしても施設利用が中心になります。そのような中で、岩屋こども園アカンパニ独自の取り組みとして、社会見学があります。 岩屋こども園アカンパニの社会見学は、一人の子どもと一人の保育者の二人だけでお父さんやお母さんの職場を訪ねることを原則としています。 |